自民 歴史的大敗!
「自民 歴史的大敗」 今朝の朝刊各紙にはこんな見出しが躍った。
民主党が改選過半数に迫る60議席を獲得し、非改選や他の野党と共闘した当選者を合わせた野党勢力は、与党勢力を30議席近く上回った。自民党は37議席と惨敗。選挙権を得てから40数年、常に政権与党に批判票を投じ続けてきた私だが、正直言って予想を上回る衝撃的な結果だった。
国民は安倍政権に不信任の審判を下したのだ。この結果を素直に受け止めるならば、安倍氏は潔く首相の座を退くのが当然だろう。
しかし、彼は「私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい」と述べて政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ。
今朝の朝日新聞のコラム「天声人語」に、こんな文章が載った。
古代ギリシャの哲学者タレスは天文学にもたけていた。ある夜、星の観測に熱中するあまり、井戸に気づかずに落ちてしまった。使用人が冷やかした。「あなたは天上のことは知ろうとするが、足元のことはお気づきにならない」▼よく知られた逸話に、安倍自民党の大敗が重なる。首相になってからの安倍さんには、望遠鏡で遠くの空ばかり眺めていた印象が強い。いわく「美しい国」「憲法改正」「戦後レジーム(体制)からの脱却」……。大構えなテーマは、彼の思い描く夜空に、星座となってきらめいていたのだろう。▼だが足元には疎かったようだ。暮らしを脅かす格差に無頓着だった。政治とカネの醜聞につまずき、年金問題という井戸に落ちた。それからが正念場だったはずだが、腹を据えて空を仰ぎ続けるでもなく、取り繕いに追われた。▼「政治家は次の時代を考え、政治屋は次の選挙を考える」という。首相就任時には、安倍さんは政治家だったかもしれない。だが井戸に落ちてからは、動揺したのかすっかり政治屋になってしまった。脆(もろ)さに失望した人は、自民支持層にも少なくなかっただろう。▼タレスは、万物は水から生まれ、水に還(かえ)ると、宇宙の原理を説いた。その水を庶民に、為政者を舟になぞらえたのは、中国の思想家の荀子だ。「水はすなわち舟を載せ、水はすなわち舟を覆す」▼民衆は政権を支えもするが、不満ならひっくり返す。それが一票の力だろう。舟が覆ってなお、首相は泳ぎ続けるそうだ。民意の波は相当荒いのだけれど。
舟が覆って泳ぎ疲れてそして溺れるまで、とてもそこまでは待てないと思うのだが……

